トレーニング

乳酸の話(4)クエン酸とクエン酸回路

前回乳酸はエネルギー源だと書いたところ、さっそく質問がきました。

「クエン酸は乳酸をたまらなくする」と聞きますが乳酸がエネルギーならクエン酸は摂取しない方がいいのでしょうか?

実は私も乳酸のことを調べるにつれて、同じような疑問を持ちました。
しかし一般的に運動したときには、レモンなどクエン酸を含んだものが美味しく感じますし、
クエン酸を摂取すると疲労感が軽減する感じがします。

本当のところはどうなのでしょう?
そこでクエン酸と運動の関係についての実験を調べてみました。

【クエン酸と運動に関する実験】
(1)NHK「ためしてガッテン 常識が覆る! クエン酸ホントの健康パワー」2004年10月13日放送より
クエン酸と乳酸のラット実験
ねずみに乳酸、クエン酸を摂ってもらい、どれだけ運動を続けることができるか実験した。
乳酸実験 運動継続時間
     乳酸を与えていないねずみ  3分30秒
     乳酸を与えたねずみ  3分30秒近く
クエン酸実験  運動継続時間
     クエン酸を与えていないねずみ  3分30秒
     クエン酸を与えたねずみ  4分10秒
乳酸を与えても運動にほとんど関係がなく、
クエン酸を与えると、クエン酸なしのねずみに比べ40秒も長く運動を続けることが出来た。

(2)ラットの運動前、運動中、運動後の肝臓と筋肉グリコーゲン貯蔵を促進するための栄養処方 1993年
クエン酸を疲労困憊に至る持続性運動終了後にグルコースとともに経口投与すると、グルコース単独投与に比べて、肝臓と筋肉グリコーゲン再補充が促進された。
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/bitstream/2241/6159/1/B0929.pdf

(3)クエン酸もしくはレモン果汁摂取による運動後の血中乳酸消去の促進 2001年
自転車エルゴメーターで運動してもらい、運動終了後に(A)クエン酸とグルコース、(B)レモン果汁とグルコース (C)グルコースのみ 飲んでもらい血中乳酸を測定したところ、クエン酸やレモン汁を飲んだほうが速く乳酸濃度が低下した。
クエン酸効果

http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.104/No104.pdf

(4)5km走の屋外ランニングで、クエン酸を飲んだ場合とそうでない場合で成績に違いがあるか調べた実験で、
結論は影響なかったというものでした。2004年
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15630143?dopt=Abstract

(5)膝の屈伸運動をしてもらいElectromyographic signals (EMG)で筋肉疲労度を測定した実験で、クエン酸を飲んだ場合とそうでない場合では結果に差はなかった。1995年
ただし乳酸値の回復はクエン酸の飲んだ方が速かった。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8549581?dopt=Abstract

(6)自転車エルゴメーターで高強度の運動をして直後に血中乳酸値を測定した実験で、クエン酸を飲んだ場合とそうでない場合では血中乳酸値に差はなかった。1998年
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9841956?dopt=Abstract

他にもあったのですが、全部あげるとキリがないので、ここらへんでまとめてみましょう。

クエン酸を運動前に与えると、
  運動継続時間は伸びる
  筋肉疲労度に差はなし
  運動直後の血中乳酸値に差はなし
  乳酸値がもとにもどるのは速い
クエン酸を運動後に与えると
  乳酸値がもとにもどるのが速い
  肝臓と筋肉のグリコーゲン貯蔵が促進

どうやらクエン酸を摂取することで、乳酸は速く代謝され、筋グリコーゲンも速く回復するみたいです。
以上からクエン酸を摂取したほうが、乳酸は速くエネルギーとして再利用されると考えてもよいのではないでしょうか?

そこで、最初の質問
 「クエン酸は乳酸をたまらなくする」と聞きますが乳酸がエネルギーならクエン酸は摂取しない方がいいのでしょうか?
に対する答えは
            クエン酸は摂取したほうが良い
となります。

ではクエン酸はどういう風に体内で使われるのでしょうか?
そこでクエン酸回路の登場です。

ここからは生化学の話になって難しくなってしまいますが、お付き合いください。

【クエン酸回路】
クエン酸回路とは、1937年にドイツの化学者ハンス・クレブスが発見した反応経路で、脂肪、炭水化物、タンパク質などのエネルギー代謝において最も重要な経路で、細胞内のミトコンドリアで行われています。
この発見でクレブスは1953年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
そして最初の反応の産物がクエン酸であることからクエン酸回路と命名されました。
moromi-su1[1]

ネットでクエン酸のことをググってみると、ほとんど人はクエン酸回路を引き合いに出して
        クエン酸摂取 → クエン酸回路が回る → 乳酸の代謝促進
と説明しています。

一見正しそうに見えるのですが、これは間違いです。


クエン酸回路の本質とは、一言でいうと
          アセチル-CoAのアセチル基を酸化し,2分子のCO2に変換する
反応だということです。
そして、このとき生じたエネルギーが次の呼吸鎖(電子伝達系)でATP産生に使われるます。

反応の始まりにはアセチルCoAが必要
           アセチルCoA + オキザロ酢酸 → クエン酸
となって回路が回りだします。

重要なのはアセチルCoAであって、クエン酸ではないのです!

クエン酸がなくても回路は回りだします!
クエン酸は途中経過で一時的に現れるだけです!


【ミトコンドリアとクエン酸】
でも、クエン酸を摂取してクエン酸が増えれば、もっと回路は回わるのでは?
そう考えるのは普通ですが、実際はそうはならいのです。

クエン酸回路はミトコンドリアの中で起こります。

ミトコンドリアの膜を自由拡散で通過できるのは、水、酸素、二酸化炭素、アンモニアだけで、
その他は専用の穴(輸送系、トランスポーター)で膜を移動します。

クエン酸の場合リンゴ酸-クエン酸シャトルという専用の輸送系があるのですが、
クエン酸をミトコンドリア外に輸送し、代わりにリンゴ酸をミトコンドリア内に輸送するという一方通行の輸送なのです。 

つまり、ミトコンドリア外のクエン酸は中に入ることはできないのです!
http://hobab.fc2web.com/sub4-mitochondrial_transporter.htm

【クエン酸の効能】
そうなるとクエン酸を摂取しても乳酸の代謝は変わらないという理屈が成り立ちます。

乳酸研究の八田秀雄教授は、次のように述べてます。
「クエン酸で乳酸は対処できない
クエン酸を摂ることで、乳酸が減って疲労回復といったことが言われています。しかしこれは実際には誤りです。クエン酸を多く摂ることによって、乳酸が速くなくなる可能性は少しはあります。これはクエン酸によって酸を中和する働きが少しよくなる可能性があるからです。しかしそれには数10g程度のクエン酸摂取が必要ですし、よくなるとしても400m走のような多く乳酸が出る後に、少し効果があるかといった程度です。市販されているクエン酸飲料にはせいぜい2-3gしかクエン酸は入っていませんから、それで乳酸の代謝が変わることはありません。さらに乳酸ばかりが疲労の原因ではありませんから、乳酸を対処することで疲労回復ということ自体が誇張なのです。これは疲労は乳酸で説明するというのが先にあって、クエン酸が疲労に効くならばそれは乳酸の代謝を変えるはずだ、という逆の論理でこじつけられているように私は思います。こうしたことは体育の科学56巻142-146にも書きました。」

しかし、しかしですよ、
上のいくつかの実験結果からは クエン酸は乳酸の代謝を促進するように思えます。

では経口摂取したクエン酸は、どうゆう作用をしているのでしょうか?
実は、その答えはまだ確立されていません

クエン酸について、いろいろと調べて、あれこれと考えてみましたが、

現象としては、クエン酸投与により乳酸代謝は促進すると考えてよい。
しかし、そのメカニズムは解っていない。

という何ともお粗末な結論になってしまいましたm(==)m

これで乳酸、クエン酸のお話は終わりです。
少しは役に立ったでしょうか? そうであれば幸いです。

乳酸の話(1)乳酸疲労説は間違い
乳酸の話(2)生体エネルギー
乳酸の話(3)乳酸はエネルギー源

乳酸の話(3)乳酸はエネルギー源

【乳酸はエネルギー源】
乳酸性機構(解糖系)によって発生した乳酸は、その後どうなるのでしょうか?
実は、乳酸脱水素酵素(LDH)によってピルビン酸に変換されるのです。
これには酸素が必要です。つまり酸素があると

          乳酸→ピルビン酸(焦性ブドウ酸)

となり、そしてどうなるのかと言うと・・・。

(1)肝臓でグルコースに変換
筋肉で多量に発生した乳酸は血液によって肝臓に運ばれます。
肝臓にはLDHが多量に存在し、健診などの肝機能検査のひとつの指標にもなっています。
肝臓で 
  
          乳酸→ピルビン酸(焦性ブドウ酸)→グルコース 

という風に乳酸から糖が作られるのです。これを糖新生と言います。

ただし、この反応にはATP6分子が必要です。
つまり乳酸から糖を作り出すには、酸素とATPのエネルギーが必要だということです。

(2)心筋・骨格筋でエネルギー源として再利用
乳酸の処理は主に肝臓で行われると考えられていました。
なぜならLDHは肝臓に多量に存在するからです。

ところで肝臓の次にLDHが多く含まれている臓器は何だと思いますか?

実は心臓です。
心臓でも乳酸は利用されていたのです。
血液によって心臓に運ばれた乳酸は、心筋のミトコンドリアに入り

          乳酸→ピルビン酸(焦性ブドウ酸)→アセチルCoA

となり、クエン酸回路に入ってエネルギー産生のため再利用されているのです。
moromi-su1[1]

そう、乳酸は実はエネルギー源なのです!


【骨格筋での乳酸の再利用】
心臓は筋肉でできていますから、骨格筋でも同様のことが行われていると考えてもおかしくありませんよね?
そうなんです、確かに骨格筋でも同じことが行われているのです。

骨格筋には速筋と遅筋と中間筋という3タイプがあります。

①速筋(別名タイプIIb・FG)
 骨格筋の大部分にある筋線維で大量のグリコーゲンを有しています。また、ミトコンドリアが少ないので色が白く、白筋とも呼ばれます。
 速筋線維は神経から刺激を受けると0.01秒以内に収縮することができますが、大量のATPを消費するので急速に疲労します。
②遅筋(別名タイプI・SO)
 遅筋線維はミトコンドリアを多く含むため色が赤く、赤筋とも呼ばれます。遅筋線維は刺激を受けてから収縮するまでに速筋に比べて3倍の時間がかかります。しかし、ミトコンドリアが豊富なため酸素を消費して糖、脂肪、たんぱく質からATPを作ることができ、長時間の運動が可能です。
③中間筋(別名タイプIIa・FOG)
 速筋線維と遅筋線維の中間の性質を持ちます。速筋線維に似ていますがミトコンドリアが多く、ピンク色をしているためピンク筋と呼ばれてもいます。疲労しにくい筋線維です。


つまり、運動をすると
1.速筋でグリコーゲンが分解され乳酸が発生
        ↓
2A. 乳酸が速筋から遅筋に直接送られエネルギーとして再利用
2B. 乳酸が血液中に放出され、心筋・遅筋に運ばれてエネルギーとして再利用

        ↓
3.余った乳酸は肝臓でグルコースに変換される
のです。

【乳酸はトレーニング効果を高める?】
乳酸の再利用能力を向上させること、それがパワーの持続につながるわけで、
そのためには

1.酸素の取り込みを向上させること(心肺機能強化)
2.乳酸再利用のための回路(酵素)を活性化させること

が必要になってきます。
つまるところ、結局地道なトレーニングしかないと言えます。

ところが、面白い実験結果があります。
運動と乳酸についての研究をされている八田秀雄教授(東京大学大学院総合文化研究科)の実験で、
「乳酸を飲ませながらトレーニングしたマウスの方が飲ませないマウスよりも元気がよく、結果としてミトコンドリアが多く増えて、トレーニング効果が高いという結果が得られました。」
というのです。

脳や神経細胞はエネルギー源としてグルコースしか利用できませんので、体内のグリコーゲンやグルコースはできるだけ温存したほうが良いに決まってます。ですから運動中に乳酸が豊富にあるほうが、グリコーゲンやグルコースの減少が抑えられ長時間運動できることになります。

なら運動中に乳酸飲料を飲めばいいじゃん!

そう思ったでしょ!でも、残念~~!

実は乳酸飲料(乳酸菌飲料)には乳酸はほとんど含まれていません(涙)。

純粋な乳酸として、食品添加物「第一乳酸 乳酸(90%) 」がありますが、
「無~淡黄色の澄明な液体で,においがないか又はわずかに不快でないにおいがあり,酸味がある.  水溶液は,酸性」だそうです。
まあ、酢のようなものでしょうから多量に摂取するのは、ちょっと無理かも(^^;

運動すれば乳酸は自然と生成されるので、無理して食べる必要はないですね。
やはり体内の乳酸を再利用するのが良さそう(笑)


乳酸の話(1)乳酸疲労説は間違い
乳酸の話(2)生体エネルギー
乳酸の話(4)クエン酸とクエン酸回路

乳酸の話(2)生体エネルギー

前回は「乳酸は疲労物質ではない」ことを書きましたが、
今回は生体内でのエネルギーがどうのようにして作られるのかの話です。
乳酸はちょびっとしか出てこないのですが(笑)、どうしても避けて通ることができないところなのです。
少々難しく退屈かもしれませんが我慢してくださいね(^^;


【生体エネルギーの素 ATP(アデノシン三リン酸)】
解糖系やクエン酸回路って何のためにあるのか?
それは生命活動に必要なエネルギーを作るため!
そのエネルギーの核となるのが
      ATP(Adenosine Triphosphate アデノシン三リン酸)
です。

ATPが加水分解されADP(アデノシン二リン酸)に変わるときエネルギーが放出されます
このエネルギーが細胞内の化学反応に使われ、生命活動が営まれるのです。

        ATP+H2O →ADP+Pi(リン酸):エネルギー放出
atp_hydrolysis

そして、これの逆向きの反応でADPからATPが合成されます。
ATPはエネルギーの受け渡しに使われるので「生体のエネルギー通貨」とも呼ばれています。

【エネルギー産生機構】
筋収縮 (アクチン・ミオシンの収縮)もATPがなければ起きません。

筋肉中に蓄えられているATP量はわずかで、短時間の運動で使い果たしてしまいます。
運動を続けるためにはADPからATPを再合成しATPを供給しつづけなければいいけません。
この仕組みをエネルギー産生機構といいます。

酸素を必要としない無酸素性(嫌気的)エネルギー産生機構クレアチンリン酸機構乳酸性機構(解糖系)

酸素を消費する有酸素性(好気的)エネルギー産生機構
があります。

1a.クレアチンリン酸機構
筋肉に蓄えられているクレアチンリン酸が、クレアチンとリン酸に分解されるエネルギーを使ってATPの再合成を行います。
この反応は酸素なしにすばやく行えます(体重1kgあたり13kcal/秒)。
スタートダッシュなどは、このエネルギーによるものです。

しかし、筋中のクレアチンリン酸量はごく僅か(体重1kgあたり100kcal)なので、これだけでは長く運動を継続できません。
全力の運動を行った場合、100/13=7.8秒(実際には約10秒程度)が限度です。

1b.乳酸性機構(解糖系)
10秒を超えて全力運動を続けると、筋肉内グリコーゲンが分解されてATPの再合成が行われ、乳酸が生成されます。
この反応も酸素が不必要で、反応速度は速いです。
このエネルギー生成では、体重1kgあたり7kcal/秒なので、全力運動を継続できる時間は33秒となります。

したがってクレアチンリン酸機構と乳酸性機構を合わせた無酸素性エネルギー産生では、理論上の運動継続時間は41秒ということになります。

2.有酸素性エネルギー産生
主にミトコンドリアで行われます

グルコースや脂肪酸や多くのアミノ酸は、アセチルCoAにまで代謝され、クエン酸回路入ります。
その後、このクエン酸から呼吸鎖(電子伝達系)に入り、そこで酸素を使って大量のATPが産生されます。
moromi-su1[1]

ただし無酸素性エネルギー産生機構よりも100倍くらい反応スピードが遅いです。

【ATP産生量】
ATP産生量で見てみると次のようになります。
無酸素性機構では
   グリコーゲン1分子→ATP3分子
   グルコース 1分子→ATP2分子

グルコースよりグリコーゲンの方がATP産生は有利なので、体内ではグリコーゲンの形で貯蔵されています。

有酸素性機構では
   グルコース1分子→ATP36分子
   脂肪   1分子→ATP129分子

酸素を使うほうが圧倒的に大きなエネルギーを生み出すことができます。
逆に言うと酸素が不足するとエネルギー産生が進まないことになります。
したがって高出力の筋力を持続して出すためには、筋細胞にいかに多くの酸素を供給できるかが大きなポイントになるわけです。
zukai2a



では、実際の運動ではどうなっているのでしょうか。
完全な無酸素運動など現実にはありえませんから、無酸素性エネルギー産生と有酸素性エネルギー産生は混在しているのが普通です。
ただその割合が違ってくるだけです。

1.筋グリコーゲンが分解されATPが産生。
2.筋グリコーゲンの減少に伴い、血糖(血中グルコース)の利用が始まる。
3.血糖低下により脂肪組織の脂肪が遊離脂肪酸として血中に遊離する。
4.筋グリコーゲン、血中グルコース、遊離脂肪酸を酸化してATP合成。
運動時間から見ると↓のようになっています。
zukai2b


次回は「乳酸の役割」についてお話する予定です。



乳酸の話(1)乳酸疲労説は間違い
乳酸の話(3)乳酸はエネルギー源
乳酸の話(4)クエン酸とクエン酸回路

乳酸の話(1)乳酸疲労説は間違い

乳酸、クエン酸回路について話をしてほしいとい依頼がありましたので、いろいろ調べてみました。
かなり長い話になりますので、いくつかに分けて解説していきますね。

【乳酸疲労説は間違いだった!】
              乳酸の蓄積が筋肉疲労の原因
と今まで考えられていたのですが、
             実は間違いだった!
というのは御存知ですか?

2004年8月「サイエンス」に発表され、私も驚きました。
その要約は次のようなものです。
「筋肉の運動の際には、細胞内のカリウム、ナトリウム、塩化物イオン濃度が大きく変化する。カリウムが外に溢れ出ることで、細胞外の正電荷が高まり筋肉の収縮が起こる。しかし、これが連続して起こるとカリウムの再吸収が間に合わず、収縮運動ができなくなる。(これを疲労という)研究者グループの結果によると、乳酸が蓄積して筋肉の酸性度が高まると、疲労に伴う筋肉細胞外の正電荷の高まりを押さえ、筋肉の収縮運動が維持できることが確認された。」
Intracellular acidosis enhances the excitability of working muscle.
Pedersen TH, Nielsen OB, Lamb GD, Stephenson DG.
Science. 2004 Aug 20;305(5687):1112-3.
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2004/08/20-01.html

ざっくり言うと「乳酸がある方が筋肉は持続的に収縮できる」というのです。
いままでの定説「乳酸疲労説」を真っ向から否定したのですから、すごいインパクトがありました。

では何故間違っていた「乳酸疲労説」が信じられていたのでしょうか?
そこで「乳酸疲労説」がいつ、どうようにして生まれたのかを調べてみました。

【乳酸の研究の歴史】
1780年 シェーレ 牛乳の発酵飲料サワーミルクの中に酸を発見、乳酸と命名。
1807年 ベルッツェリウス シカの筋肉中に乳酸を発見。
1877年 ホッペ=ザイラー グリコーゲンから乳酸ができることを発見。
同年  ベルナール 肝臓にグリコーゲンを発見。

1907年 フレッチャーとホプキンス 低酸素下においてカエルの筋を収縮させると、筋肉中乳酸濃度が約10倍に増加することを発表。
この論文が乳酸と筋疲労に因果関係があるとする考えの発端になりました。

1918年 ドイツのオットー・マイヤーホフは、カエルの筋肉を酸素のない場所で収縮させてるとグルコースがなくなり乳酸が生じることを発見し、 「グルコース(炭素原子6個)が2個の乳酸(炭素原子3個)に分解してエネルギーが生じる」という「乳酸学説」を発表。またこの糖を分解する過程を「解糖」と命名。

1922年  マイヤーホフとヒルは「筋肉中の酸素の消費と乳酸産出の関係」の研究でノーベル医学生理学賞を受賞。
ここから筋肉でのエネルギー代謝の研究が加速していきます。

1929年 デンマークの生理学者ルンズゴールが、グルコースを乳酸に変化させる酵素を阻害する「モノヨード酢酸」中でも筋肉の収縮が起こる事を実証し、筋肉収縮に乳酸生成は必要ないと証明して見せます。
1930年 これを知ったマイヤーホフは自身の「乳酸学説」を自身の手で撤回。
そして「グルコース(C6)は、まず2つのピルビン酸(C3)に分解する。そしてピルビン酸は乳酸に変化したり、アルコールと二酸化炭素にも分解する。酸素があれば水と二酸化炭素にも変化する」と考え、この過程を【解糖系】と名づけました。

これ以降マイヤーホフとエムデンの研究により、エムデン・マイヤーホフ経路の解糖系が解明されます。

【乳酸疲労説の誕生】
1927年 古沢&ケライジ 繰り返し収縮した筋では乳酸の発生とともに筋細胞内のpHが6.2-6.3まで低下すると発表。
1929年 Hillsらがカエルの筋肉を使った研究に基づき「乳酸疲労説」を提唱。それは、
1.激しい運動で筋肉内の酸素が低下
2.解糖系が働き乳酸が蓄積
3.アシドーシス(酸性化)になり筋収縮が阻害(疲労)

と考えたのです。
さらに乳酸が解糖系の最終生産物とされたことから、老廃物のような位置づけにされてしまいました。
また医学の分野で乳酸アシドーシスが致命的病態を引き起こすことから、乳酸蓄積=悪者というイメージが定着するようになりました。
こうして「乳酸疲労説」は定説となったのです。

この説は一見すると間違いがないように思われます。
ところが3のメカニズムが本当は明確にはなっていなかったのです。
つまり「筋肉疲労を起こす仕組み」が分子レベルで明確にされないまま、相関関係があるから三段論法で乳酸が疲労の原因であると結び付けられていたのです。
相関関係があるからと言って、必ずしも原因と結果にはならないのです。

その定説を覆したのが2004年のサイエンスの論文でした。

さて、筋疲労の最近の研究では
1.激しい運動後はカルシウムイオンが筋肉細胞から漏れ出す
2.筋肉を動かしにくくなる(=疲労を感じる)
3.カルシウムイオンがタンパク質分解酵素を活性化し筋肉にダメージを与える(筋肉痛)
という説が最も有力になっているようです。
しかし、いろんな報告があり、まだまだ研究途上のようです。


乳酸の話(2)生体エネルギー
乳酸の話(3)乳酸はエネルギー源
乳酸の話(4)クエン酸とクエン酸回路
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昨日の朝練&ジテ通 距離58.98km、Ave.29.19km/h、時間2:12、Max57.5km/h

自転車乗りのストレッチ

【体が柔らかいことは大切】
幼児はよく転倒しますが骨折はほとんどしませんよね。
マンションから転落しても助かったという例もたくさんあります。
でも年寄はちょっと転んでも骨折してしまいます。

幼児は骨・靭帯が柔らかく老人は骨・靭帯が硬いから、このような違いがでます。

体が硬くて良いことはなにもありません。
そして骨は柔らかくできませんが、靭帯は柔らかくすることができます。

自転車は同じ姿勢を強要されるので、体が硬いと長時間は辛くなります。
自転車に必要な筋力、心肺能力は走っていれば、すぐに向上しますが、
体の柔らかさは一朝一夕で獲得できるものではありません。

そこで毎日ストレッチをすることが大切になります。

特に自転車を始めたばかりの方々は、ポジションのことを気にする以上にストレッチをすることを心がけてください。毎日短時間でもいいのでストレッチをすれば、怪我・故障を防ぎ、楽に長時間乗れるようになります。

【運動前のストレッチは有害】
最近ストレッチについて調べてみたら

               運動前のストレッチは有害

という研究報告が多数あるのに驚きました。
詳しくは→ココを読んでみてください。

でもウォームアップとストレッチを混同しないでくださいね。
ウォームアップが運動効率、パフォーマンスを向上させることは数々の実験で実証されていますから。
問題は、運動前のストレッチはウォームアップの代わりにならないばかりかパフォーマンス向上にも役に立たないという点です。

自転車の場合だと、自宅を出て、いきなり全力疾走することはないですよね。
だから直前のストレッチって必要なの?と疑問でした。
さらに、しばらくは軽めで走っているので自然とウォームアップもできています。

だから自転車に乗る前にストレッチするより、毎日少しずつストレッチする方が大切なのでは?と最近は考えるようになりました。

そこで今回は私が実践しているストレッチを紹介します。

【股関節のストレッチ】
※画像はココを転載させていただきました。

◎ニーストラドル                     ◎サイドストレッチ
0102
◎開脚前屈                          ◎股割り
0304

【臀部・ハムストリングのストレッチ】
◎ヒップフレクサー             ◎クロスオーバーレッグ
0506

【大腿四頭筋】
◎クアドリセプス
07

注意点は
反動をつけずに、ゆっくりと伸ばして、30秒以上静止すること
息を止めない。息を吐きながら行うこと
息を吸うときは力を緩めること
心地よい痛みのレベル以上には過度にストレッチしないこと

私は上のストレッチをそれぞれ2分づつ行い、全部で15分くらいしかやっていません。
やる時刻は決まってなくて、寝る前とかテレビを見ながらやっています。
でも毎日15分続けると1ヶ月で見違えるほど柔らかくなりました。

【やってはいけないストレッチ】
×ニーストレッチング→ ココを参照してください。
knee1aknee2aknee3a


膝は屈曲するようにできていますが、捻るようにはできていません。
そのため上のようなことをすると靭帯を過度に伸ばすことになり良くありません。
自転車乗りで膝の故障が起こるのは、この捻る動作をしてしまったためです。
膝痛がよく起こる人は、一度ビデオで正面から撮影してみて、膝が捻れるような動きになっていないか確かめてみたほうが良いと思います。

飲むヨーグルト

最近疲れにくくなったなぁと感じていました。

ほぼ毎日朝練しているので基礎体力が向上してきているのだと思いますが、
それ以外にも役に立っているものに最近気がつきました。

それに気づいたのが、NHKの「ためしてガッテン」(7月13日放送)です。
その中の実験で

         運動後に牛乳を飲むとバテにくくなる

というのがありました。それは、
運動するとタンパク質合成のスイッチが入るので、その材料となるタンパク質を補充することでタンパク質合成が盛んになり、血液中のアルブミンが増加する。すると血管内に水が引き込まれやすくなり血液量が増えバテにくくなる。
というものでした。

なるほど!
自分も疲れにくくなったと感じたのは、これが一因だったのかとガッテン!しました。

それは          飲むヨーグルト         です。

実はここ1ヶ月くらい朝練のあと「飲むヨーグルト」を飲んでいたのです。
牛乳を飲むと下痢しやすい体質なので、飲むヨーグルトにしていたのですが、
これのおかげでアルブミンが増加→血液量増加→疲れにくくなったと言う訳です。

確かに一理あるなと思いました。

さらに牛乳は必須アミノ酸をすべて含んでいますから、筋肉形成にも役立ちます。
ただし牛乳の摂りすぎは脂肪の摂りすぎにもなるので、私は↓を好んで飲んでいます(^^:
ビヒダス脂肪0

11月の走行距離

11月06日(土) 晴 68km
11月13日(土) 晴 88.09km
11月21日(火) 晴 77.42km 体重70.5kg
11月20日(土) 晴 97.0km
11月合計330.5km(累計8922.22km)

Fusion3チューブレス 1940.24km、パンクは1回。
リアがだいぶ減って平らになってきたので、そろそろタイヤのローテーションをしないといけないですね。

今年は約9000km走ったことになりました。
で、中華カーボンは
  初号機1480.6km
  弐号機3253.0km
乗ったことになりました。
この間不具合はなし。耐久性も問題なさそうですね。

10月の走行距離

先月は851.65km。
もうオフシーズンですね。

10月中旬以降自転車通勤していませんし、10月22日~28日までイタリア旅行に行っていたこともあり、体重が3.5kgも増えてしまいました。
ローラー台を買おうかと真剣に考えています。

10月01日(金) 晴 18.0km 体重67.5kg
10月02日(土) 晴 60km 美瑛センチュリーライド
10月03日(日) 曇 100km美瑛センチュリーライド
10月07日(木) 晴 39.26km
10月08日(金) 晴 18.0km
10月10日(土) 雨 429.23km 長万部400(Fusion3前輪パンク)
10月14日(木) 晴 26.5km
10月30日(土) 晴 77.8km 美瑛合宿 体重71.0kg
10月31日(日) 晴 82.86km美瑛合宿
10月合計851.65km(累計8591.71km)(Fusion3 1705.73km)

先週の走行距離

10月14日(木) 晴 26.5km
合計26.5km(笑)
雨やら寒いやらで自転車通勤はもう終わりです。
今年はあと何回走れるんだろうか?

先週の走行距離

09月27日(月) 晴 18.0km
09月30日(木) 晴 56.70km
10月01日(金) 晴 18.0km
10月02日(土) 晴 60km
10月03日(日) 曇 100km
合計252.7km

朝日が昇るのが遅くなってきたので、目が覚めるのも遅くなってきた(笑)
寒くなってきたし、そろそろ自転車通勤も限界に近い。

10月10日・11日はブルベBRM1010長万部400。
雨だけは勘弁して欲しい・・・。
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